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色々な社会資源〜安心して在宅生活を送るために利用できる制度〜

緩和ケアでは患者さんの様々な辛い、不快な症状に対して色々な薬が使われます。痛み止め・吐気止め・点滴などあらゆる種類の薬が使われる可能性がありますが、その中で痛み止めを中心におもだった薬について簡単に説明します。
使用する薬剤は施設によって異なりますし、患者さんの症状や状態によって使用できない場合もありますので詳しくは各施設の医師・薬剤師に御相談ください。
なお薬品名・商品名は一部のみ例示してあります。

痛み止め

がんの痛みは辛いものです。痛みを薬で取ることによって患者さんが楽になり、家族や友人と笑ってすごせたり、やりたい事ができるようになったり、前向きに生活できるようになります(いわゆるQOL=生活の質)。
痛みを我慢しても病気が良くなるわけではありませんし、かえって睡眠不足になったり食欲が減ったりして体力を消耗してしまうのでなるべく早く医師や医療スタッフに相談してください。
がんの痛みに用いる薬には麻薬性鎮痛薬や消炎鎮痛薬が主に使用されますが、症状によっては、うつ病やてんかん、不整脈などに用いる薬を使用する場合もあります。

麻薬性鎮痛薬

[主な薬名]
  • 塩酸モルヒネ
  • MSコンチン
  • オキシコンチン
  • オプソ
  • フェンタニル
  • リン酸コデイン
  • デュロテップパッチ
  • アンペック
  • カディアン
  • モルペス
  • ビーガード
  • MSツワイスロン
  • パシーフ
  • リン酸ジヒドロコデイン
  • など
がんの痛みに対して最もよく使われる薬です。
麻薬というと中毒にならないか、廃人にならないか、使用すると死期が早くならないか、などと心配される方もいますが、医療現場で使われる麻薬は医療用麻薬といって痛みが取れるような量で使用している限りそのようなことはありません。オピオイド性鎮痛剤と呼ばれることもあります。
痛みは体の状態や病気の進行具合によって変化しますので薬の量を調節していきます。
また飲み薬(粉薬、錠剤、水薬)、坐薬、貼り薬、注射薬など色々な種類がありますので患者さんの状況に合わせて選ぶことができます。
非オピオイド性
鎮痛剤

[主な薬名]
  • ボルタレン
    ロキソニン
    ナイキサン
    ハイペン
    ロピオン
    カロナール など
NSAIDs(エヌセイド)と呼ばれるグループの薬やアセトアミノフェンという薬があります。
がんの痛みには初期の比較的軽い痛みに用いますが、麻薬性鎮痛薬と一緒に使われる場合も多くあります。
がん以外の病気では関節痛や歯痛、頭痛などでよく使われます。
その他の
鎮痛補助剤

[主な薬名]
  • トフラニール
    トリプタノール
    デパケン
    ガバペン
    メキシチール
    プレドニン など
痛みのタイプや症状によっては色々な薬が使われる場合もあります。もともとは、けいれん止めとして使われる薬であったり不整脈用やうつで使われる薬であったり炎症を抑える薬であったりします。本来は違う目的で使用するための薬ですが研究や経験で痛みに有効である場合があるとわかってきました。薬の説明書には痛みに効くとは記載してない場合が多くあります。
赤字:一般名称
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吐き気止め

吐き気や嘔吐はがんの患者さんではしばしば起こります。その原因は消化管閉塞、頭蓋内腫瘍、抗がん剤や麻薬性鎮痛剤の副作用、血液の異常、腎不全など様々です。したがって治療法も様々で症状や原因に合った治療を行うこととなります。

消化管運動
促進剤

[主な薬名]
  • プリンペラン
    ナウゼリン など
胃腸の運動を活発にして、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助けます。そうすることで、吐き気や嘔吐、食欲不振や膨満感、胸やけなどの症状を改善します。
5−HT3
受容体
拮抗剤

[主な薬名]
  • カイトリル
    ナゼア
    シンセロン など
脳の吐き気を感じる部位に作用して、吐き気や嘔吐を抑えます。主にある種の抗がん剤を使用する際に使用します。
抗精神薬

[主な薬名]
  • ノバミン
    セレネース
    リスパダール など
もともとは精神疾患で使われる薬ですが一部の薬剤の少量の使用で吐き気に有効なことが知られています。麻薬性鎮痛剤の使用初期に出る吐き気などによく使用されます。
ホルモン剤

[主な薬名]
  • サンドスタチン
オクトレオチドというホルモン剤(注射薬)は腸管の各種ホルモン、腸管の分泌物や蠕動(ぜんどう)運動の抑制作用があり、腸閉塞などが原因の吐き気、痛み、腹部膨満感を改善します。
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下 剤

麻薬性鎮痛剤の多くが副作用として便秘を発生させてしまいます。また、がんの影響で腸の動きが悪くなったり、腸が詰まり気味になったり、あるいは病状の変化や環境の変化などによって便秘になることもしばしばです。
便秘か続くと不快感だけでなく腹痛や腹部膨満感、吐き気なども生じることがあります。完全な腸閉塞の場合など下剤が使えない場合や、下剤を使っても改善しない場合もありますがお腹を温めたり摘便(指を入れて便をかき出す)したり環境を変えたりするなど薬以外にも方法はありますので医師などと相談して上手くコントロールすることがポイントです。

塩類下剤

[主な薬名]
  • 酸化マグネシウム
  • など
腸の中に水分を引き込むことで便を軟らかくして流れるようにします。また水分を引き込むことで腸の内容物が膨らみ、その刺激で腸の動きを活発にする働きもあります。
大腸刺激性
下剤

[主な薬名]
  • プルゼニド
  • ラキソベロン
  • 大黄甘草湯 
  • など
大腸を刺激して動きを活発にすることによって便秘を改善します。塩類下剤とともに最もよく使われる下剤の一つです。
浣腸

[主な薬名]
  • グリセリン浣腸
肛門からグリセリン液を入れて便を軟らかくして排便させます
坐薬

[主な薬名]
  • 新レシカルボン
肛門内で炭酸ガスを発生させて、その刺激で排便させます
糖類下剤

[主な薬名]
  • モニラック
  • ラクツロース
  • など
塩類下剤と同じ仕組みで排便させます。
便秘以外でも体の中にアンモニアが増えてきた時にも使用することがあります。
赤字:一般名称
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呼吸困難

肺がんやその他のがんが肺に転移した場合や、全身状態が悪くなってきた時などに発生することがあります。また体は問題なくてもストレスや不安感などから呼吸困難感が生じることもあります。
まずは原因をはっきりさせて、それに合った薬を使ったり処置を行うことが大切です。
患者さんにとっては非常につらい症状の一つで、できるだけ和らげる必要があります。
この項では薬以外の処置も少し掲載します。

麻薬性鎮痛剤

[主な薬名]
  • 塩酸モルヒネ
    オキシコドン
本来は痛み止めとして使う薬ですが、体の中の酸素が減って息苦しいときにそれを感じなくさせます。原因に対する治療ではなく、息苦しさを感じなくさせるくすりです。この中ではモルヒネが一番よく効くとされています。
ステロイド

[主な薬名]
  • プレドニン
    リンデロン など
炎症を鎮めたり、浮腫や気管支が細くなっているのを改善したりして呼吸を楽にします。呼吸困難の程度や身体状況を判断しながら医師が処方します。
抗不安薬

[主な薬名]
  • セルシン
    デパス
    ソラナックス など
強い恐怖感や不安感は身体に異常がなくても息苦しさを感じさせたり、もともとある呼吸困難感をさらに強くしている場合などに有効です。
酸素吸入 息苦しいときなどに酸素吸入をすると楽になることがあります。
病院などでよく見かけると思いますが、最近では自宅で出来るようになっています。詳しくは医療スタッフにご相談ください。
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